2011年5月24日火曜日

ボーフム大学での上映

昨年11月、記念すべき初の海外上映会を行いました。

初めての海外上映となりましたが、集まったみなさんは真剣に見てくださいました。


日本はドイツはともに第二次世界大戦の敗戦国で、上映後には、ドイツの物理学者と

日本の物理学者の境遇についてや、歴史を残すことに関して様々な議論がなされました。


上映会はボーフム大学で勤務されている永瀬ライマー桂子さんが企画してくださり、

永瀬ライマー桂子さんからも貴重なコメントをいただきました。


上映後、永瀬さんからいただいたメールの一部をご紹介します。


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うちの学生たちは、とても感動していたようです。こういう映画を学生として中尾さ
んがとった、というのは、大きな刺激になったようです。どうもありがとうございま
した。

その後、耳にした反応には以下のようなものがありました。

・ サイクロトロンが原爆製造にどのような役割を果たしたのか、わからない:ここ
も自分で考えてもらおう、というのが、中尾さんの意図だったのでしょうか?そうで
なければ、サイクロトロンの原爆製造における位置を明確にすると、わかりやすい
と、私も思います。
・ 字幕を読んでいると、場面がかわってしまう:これは、日本語を解さない人に見
てもらうときの問題かと思います。場面転換がはやすぎる、と感じた人がままいまし
た。訳を簡単にするか、シーンを長めにするほうが、外国人には楽なようです。ちな
みに私は、場面転換が早すぎる、とはぜんぜん思いませんでした(日本語できいてい
たからですね)。
・それから、討論中にも音楽についての意見がでましたが、「音楽がメランコリーす
ぎる」と感じた人が結構多かったのです。これは中尾さんの映画が、というより、文
化の違いだと思います。ドイツと日本のニュースを比較しても、日本のニュースのほ
うが効果音を使って、ドラマチックにしたりする場合がだんぜん多いのです。私はド
イツにきたばかりのとき、ちょっと物足りなく感じていましたが、今はこちらに慣れ
てしまって、日本のテレビをみると、大げさに感じられます。

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サイクロトロンと原爆の関係については、さまざまなレベルで答えることが

できると思うので、見た人に考えてもらいたかったということもあります。
とはいえ、もう少し技術的な解説を加えられたらよかったと思います。

(この点については、いつも上映後にディスカッションになります)

音楽に関しては、ドイツでの上映ならではの感想で、興味深い点でした。

ドイツでは、負の歴史をどのように伝えていくかということについて、

社会的に高い関心が持たれていることを感じました。


(丁度ベルリン滞在中に国立機関で初のヒトラー展が開催されていて、

見にいきましたが、このヒトラー展の是非をめぐっても国内で様々な

議論がなされていたようです。)


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