2008年8月13日水曜日

上映報告(市民科学講座)

8月2日、第28回市民科学講座「戦時下の科学――ドキュメンタリー『よみがえる京大サイクロトロン』を見て」がアカデミー文京(文京シビックセンター)で開催されました。
今回の講座は市民科学研究室・低線量被爆勉強会の主催で、ドキュメンタリー上映後には同勉強会の瀬川さんによる技術解説、そしてディスカッションという流れでした。

非常に暑い日でしたが、50名近くの方に参加していただきました!

瀬川さんの解説では、低線量被爆勉強会ならではの新しい視点、サイクロトロン破壊と生物・医学研究とのかかわりについて、について示されまました。
今回は科学史研究者など専門家が多く参加され、議論はかなり専門的なものになりました。
小沼通二先生からは、湯川秀樹が原爆研究にかかわったか否かということ、それをめぐる戦後の湯川の意識についてお話ししていただきました。

また、戦時中の日本の原爆研究に関する「公文書がない」ということも話題になりました。それゆえに日本の原爆研究の歴史は明らかになっていない部分は、まだ多くあります。ただし一次資料は少ないながらあり、証拠がないから、その歴史がなかった、とはいえず、そういう歴史も残していく必要があると思います。

若い方の参加者もいつもの市民科学講座と比べると多かったようです。
ドキュメンタリーについては、好意的な感想をたくさんの方にいただけました。
どうもありがとうございました。


参加者の一人、ロシア物理学史を専門にしている金山さんがブログで感想を書いてくれました。

http://hisphyussr.at.webry.info/200808/article_2.html

かなり鋭いポイントがつかれています。
3月に京都大学で上映会をしたときには、戦時中の荒勝研究室にいたOBの先生方から、戦時中に軍に協力するのは当たり前で、そのことをあとからとやかくいわれることには強い抵抗があるという意見がでました。
後から原爆研究にかかわったとして科学者を糾弾することは簡単ですが、私はそういった科学者の責任という問題より、そういったことを当たり前にした社会がどのようにそうなったのかについて検討したいと考えています。

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